「入れ歯」の製作

「入れ歯」を製作するに当たって

20年程前ですが、豊島区歯科医師会で在宅訪問診療事業を開始する際に、先進地域の見学に行った折、患家での話です。

男性の「総入れ歯」の患者さんでした。「入れ歯」の使用は1日1回で、「男のたしなみ」に使っているとの事でした。

よくよく話を聞いてみると、無歯顎(歯のない状態)でなんとか食事をとる事ができているので、「入れ歯」はじゃまで、痛くて上手く使えない。「入れ歯」がないと口元がしわだらけで、上手く「髭」が剃れないので、その時に使うとの事でした。

我々見学者一同「入れ歯」の新しい使い方を知り、驚くやら、感心するやらした経験がありました。

その時の歯科医の訪問の目的は当たって痛いところの調整で、早く「入れ歯」に慣れて食事を美味しく食べれる様にと頑張っているところで、がっかりした歯科医の表情を覚えています。条件の悪い状態で「入れ歯」を作っているわけですから。

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「入れ歯」の製作について

当院での「入れ歯」の製作について説明いたします。

まず、「入れ歯」を製作する必要性をよく説明します。患者さんの同意を頂いた後下記のような手順で進めていきます。

1.精密な印象を取ります

この印象が悪いと良い「入れ歯」は出来ません。必要であれば2回、3回取る事もあります。

良い型(歯型)が必要です。

「部分入れ歯」のケースでは技工所にバネ等の依頼をします。

2.上下の咬み合わせを取ります

上下の咬み合わせを取り、患者さんの年齢、顔の形、肌の色等で、人工歯を選択します。

ロウで咬み合わせを取る。バネ等を試適する。

3.咬合器に型を付着します

口の外で咬み合わせを再現するために、咬合器に型を付着し、私が人工歯を噛み合わせや歯の稙立の状態を考慮して、配列します。

口の中の状態を把握している歯科医が行う大切なステップだと思っています。

4.試適を行います

人工歯を配列したロウを口の中に入れ、正中線、咬み合わせ、唇の状態、顔の長さ、だ液を上手く飲み込めるか等を確認します。試適と言います。

この段階の条件を満たさない場合には、その場で配列を直しますが、2の咬み合わせが上手くとれていない場合は(総入れ歯のケースは難しい)、咬み合わせを取り直し患者さんに再度の来院をお願いし、試適を行います。

5.仕上げをします

技工所に「入れ歯」の仕上げを依頼し、1週間程で届き患者さんの口腔内に装着することになります。

型を取ってから仕上げまで3、4週間かかります。

 



    

以上の様にそれぞれの段階を大切にして、「入れ歯」を製作しておりますが、装着後は患者さんの努力が必要になってきます。

    

咬み合わせが少し高い、歯肉が痛い等、ましてや初めて「入れ歯」を使われる患者さんにとっては、当然異物感があり、なかなか慣れないものです。調整の為に2,3回来院は必要になります。

    

この様にして患者さんの体の一部に「入れ歯」が成り、食事を美味しく食べれる様にと日々努力しております。

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